勉強の方法は?

1 あなたはどちら。「歴史好き」あるいは「歴史の嫌い(苦手)な法学部生」

 

「歴史好き」の人は下の  へすぐに行ってください。

 

「歴史の嫌い(苦手)な法学部生」諸君へ

 いつごろから歴史嫌いになったのでしょうか。暗記が苦手だったのですか。教科書を棒読みする歴史の授業を聞かされて嫌いになったのですか。まあ、原因は色々あると思います。しかし、法学部の勉強にかぎらずに、色々な仕事をしていくうえでも歴史は必要なのですよ。早い話が、過去の教訓を学ぶ人は成功するといいますね。それはともかく、将来弁護士・検事・裁判官や公務員などになった場合、自分が担当する案件を解決するためには、事実関係を過去に遡って因果関係の確認をして、法的な命題や行政ルールを当てはめる必要が出てきます。そのとき、歴史的センスが役に立つわけです。公法・私法を問わず、法律の意味を理解するためにも、立法の経緯や判例・行政事例の推移をフォローしておくことも必要です。そういうことですから、法学の中の歴史的分野である法制史を毛嫌いするのではなく、好きになるように努力して前向きに取組んでください。無味乾燥な法制史の本もありますが、面白い本も沢山あるのですよ。

 

2 勉強のポイント

 効率よく勉強を進めるコツはなにか。目的意識をもって、問題意識をもって、取組んでください。そうしないと、だらだら時間をつぶすだけになります。1日24時間は誰にでも平等です。時間は大事に使いましょう。でも、歴史の勉強をするとついつい寄り道しますので気をつけましょう。

 

3 日本近代法制史のあらましを知りたい

 日本近代法制史の入門書あるいは概説書を読んでください。左の入門書は?」のアイコンをクリックしてください。いくつかの入門書が紹介されています。

 

4 具体的な例で(大日本帝国憲法の歴史)

 

(1) なぜ、憲法史の勉強が必要か

 現行の日本国憲法の成立の経緯、そして日本国憲法の存在意義とその内容を理解するためにも、大日本帝国憲法(明治憲法)の歴史を知っておく必要があります。

 

(2)明治憲法史のあらまし

 以下の時期にわけることができるでしょう。

①幕藩体制が崩壊して、明治維新によって新政府が成立し、国家のあり方が模索された時期。

②明治8(1875)年の大阪会議以後、自由民権運動と政府の対抗関係の中で、新しい国のありかたについての争点と選択肢が明確に絞り込まれていった時期。

③明治14(1881)年の政変によって、専制的要素の強い立憲君主制を国のありかたとすることが選択された。この方針のもとに憲法制定の作業が進められ、大日本帝国憲法が制定された時期。

④明治22(1889)年に大日本帝国憲法(明治憲法)が公布され、立憲君主制の下での国政の運営が進められていく時期。この時期は、議会において民党と政府の対立が激化した。

⑤日清・日露の二つの戦争を経過して、帝国日本が形成されるとともに、国内では都市を中心とした日本の近代化が進行して、大衆の力と政党の力が大きくなってデモクラシーが進展していく時期(大正期)。

⑥原敬内閣の成立あたりから政党内閣が生まれ、国際協調と軍縮のなかで議院内閣制的な要素が大きくなっていく時期。

⑦世界恐慌の激流の中で、政党内閣の時代が終わって、満州事変以後、戦時体制が築かれていく時期(立憲制の崩壊)。

⑧太平洋戦争に突入して、敗戦を迎え、アメリカによる占領と戦後改革が進められる時期。憲法の変更が行われた(日本国憲法の成立)。

 
(3)専門的な勉強の第一歩(基本書)
 以上の時期区分をした上で、各時期の重要な項目について詳細に検討していくことが専門的な勉強ということになります。
 専門的な勉強についてのテーマは、入門書で紹介されている専門書の文献案内で見てください。
〇専門的な勉強を進める上で必ず読まなければならない文献は、稲田正次『明治憲法成立史(上)(下)』(有斐閣、1960、1962年)です。この本は、明治憲法制定の経緯を詳細に論じており、明治憲法史研究の出発点となる文献です。ただし、現代人にはとても読みづらい著書であります。
 稲田先生の『明治憲法成立史(上)(下)』の読み方(以下で稲田本とよびます)
(ⅰ)稲田本は、内容が難しいことを覚悟しておいてください。難しい理由は、二つあります。
 ①漢字が多いし、旧字体で書かれています。
 ②史料の原典がそのまま引用されています。史料に語らせるという手法で文章が展開されています。
 大抵の人は、この二つの理由によって途中で読むのをあきらめてしまいます。あなただけではありませんから安心してください。
(ⅱ)読み方としては、最初は斜め読みでいいのです。目次に目を通してから、ざっと、大雑把に目を通してください。
 (ⅲ)引用史料を解読しなければ論点がはっきりしない稲田本を読みこなす為に、比較的分りやすくて論点がはっきりしている次にあげる著書を読んでください。
 私の『入門日本近代法制史』と川口由彦氏の『日本近代法制史』(新世社、1998年)の該当箇所や、長尾龍一氏『日本憲法思想史』(講談社、1996年)と最近刊行された坂野潤治氏の『日本憲政史』 (東京大学出版会、2008年)などが推奨されます。私の考えや史料の読み方はこれらの先生方の著作の内容と必ずしも一致しているわけではありませんが、いずれも意欲的な著作で主張が明快(解)ですから論点整理に大いに役立ちます。
(ⅳ)論点が整理できたら、漢和辞典を片手に稲田先生の『明治憲法成立史』と格闘してください。気長にやってください。
 
(4)専門的な勉強の第二歩(史料調査)

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