適塾(大阪市中央区北浜)

適塾
 
 適塾は近代大阪いや近代日本の源流の一つと言っても言いすぎではなかろう。

適塾は、幕末の大坂で医師緒方洪庵が開いた私塾である。厳密にいうと適々斎塾というのが正しい。洪庵は当時最先端を行く蘭方医であったが、「貧しい患者が流す感謝の涙は、富んだ患者が謝礼に差し出す一握りの黄金と比べものにならないほど尊いものである」(フーフェラント『医戒』)という精神を実践した人であった。彼はまた、医学者であると同時に優れた教育者でもあった。記録(弟子が自筆した姓名録)によって判明するだけで全国から参集した636名の弟子を育て世に送り出した。その弟子たちが師の精神を体現したことはいうまでもない。これらの弟子たちのなかには、橋本佐内・福沢諭吉・大村益次郎(村田蔵六)などの近代日本の基礎を形成した巨人たちも多くいたけれども、近代化の名もなき礎となった人々を多数輩出したことこそ洪庵の「業績」と言えるのではなかろうか。(注記:洪庵の弟子のなかには明治日本の国家や法の形成に関係した人物も多数いるので、適塾の写真を法制史に関係する写真とした。)

 緒方洪庵の適塾は、江戸時代大坂の船場北浜過書町(現在の中央区北浜3丁目)にあって、金融の中心街今橋(現在の中央区今橋)に隣接していた。そして、適塾は今でももとのままの位置に保存されている。

適塾の参観要領(開館時間 10時から16時まで。休館日 月曜日、年末年始など。参観料 一般 250円 学生 130円 生徒 無料。なお、団体割引あり。℡06-6231-1970

適塾の碑
 ビルの谷間にある適塾
 
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